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2011年の総括 [こんなことを考えている]
激動の2011年が終わりました。
2011年は、本読みとしても結構大変な1年でした。読んだ数としては332冊ですが、これは途中震災でもよりの公共図書館が使用不可になってしまったことと、震災後に就職した会社で体調を崩したことが途中まったくといっていいほど進まなかった原因となっています。
10月からは比較的精神衛生が保てる職場(私立高校)に臨時職員としてもぐりこめたので、逆に読む時間を作ることができました。高校の図書室も使えるわけですが、最近の高校の図書室は想像以上に中身が薄く、高校生の国語力の低下の、その一端を覗いた気分でした。
読んだなかでのお勧めは、以下のとおりです。
「空気」と「世間」は、今年の正月休みに読んでここに書こうと思っていて忘れていたものです。日本でよく見られる「反対できない空気」はどのような背景があるかを説明したものです。ここで書かれたことが、結局震災後によく見られたので、改めて重要な指摘があったなと思っています。
他の2作は私には珍しい小説です。どちらもそれなりの分量がありつつも、読み出すと止まらない面白い作品でした。007は、それこそ21世紀のジェームス・ボンドでこのまま映画化しても楽しめそうです。
今年の特徴のひとつに、震災後に写真集を含む関連書籍をいくつか読んだことが挙げられます。
写真集は、ある特徴があります。それは津波の写真はたくさんあるのに、そこには決して遺体は写っていないということです。棺の写真もほとんどありません。自分で見た限り、FRIDAYの震災写真集ぐらいでした。決して見たいと思わないものの筆頭でしょうが、亡くなった被災者がいたという事実は残さないのかと思ったのも事実です。
他には実際に経験した人でないと書けない帰宅難民なう。のような本もあり、首都圏に地震が来たらきっとこれと同じことがもう一度起きることでしょう。
元日早々大きな地震が起きています。震災関連の本は、「明日はわが身」の想像力を広げるものとして読まなければなりません。しかし、それでも地震雑感/津浪と人間 - 寺田寅彦随筆選集 (中公文庫)で指摘されているとおり、忘れてしまうのも人間だということは、心に刻み付けておかなければ、と思う次第です。
2011年は、本読みとしても結構大変な1年でした。読んだ数としては332冊ですが、これは途中震災でもよりの公共図書館が使用不可になってしまったことと、震災後に就職した会社で体調を崩したことが途中まったくといっていいほど進まなかった原因となっています。
10月からは比較的精神衛生が保てる職場(私立高校)に臨時職員としてもぐりこめたので、逆に読む時間を作ることができました。高校の図書室も使えるわけですが、最近の高校の図書室は想像以上に中身が薄く、高校生の国語力の低下の、その一端を覗いた気分でした。
読んだなかでのお勧めは、以下のとおりです。
「空気」と「世間」は、今年の正月休みに読んでここに書こうと思っていて忘れていたものです。日本でよく見られる「反対できない空気」はどのような背景があるかを説明したものです。ここで書かれたことが、結局震災後によく見られたので、改めて重要な指摘があったなと思っています。
他の2作は私には珍しい小説です。どちらもそれなりの分量がありつつも、読み出すと止まらない面白い作品でした。007は、それこそ21世紀のジェームス・ボンドでこのまま映画化しても楽しめそうです。
今年の特徴のひとつに、震災後に写真集を含む関連書籍をいくつか読んだことが挙げられます。
写真集は、ある特徴があります。それは津波の写真はたくさんあるのに、そこには決して遺体は写っていないということです。棺の写真もほとんどありません。自分で見た限り、FRIDAYの震災写真集ぐらいでした。決して見たいと思わないものの筆頭でしょうが、亡くなった被災者がいたという事実は残さないのかと思ったのも事実です。
他には実際に経験した人でないと書けない帰宅難民なう。のような本もあり、首都圏に地震が来たらきっとこれと同じことがもう一度起きることでしょう。
元日早々大きな地震が起きています。震災関連の本は、「明日はわが身」の想像力を広げるものとして読まなければなりません。しかし、それでも地震雑感/津浪と人間 - 寺田寅彦随筆選集 (中公文庫)で指摘されているとおり、忘れてしまうのも人間だということは、心に刻み付けておかなければ、と思う次第です。
政権交代の悪夢 [300番台]
誰がどういおうと、どんなに悪かろうと、それは我々有権者の責任。
読んでいるととても腹立たしくなる1冊です。麻生政権の終わりごろから震災までの民主党政権について書いているものです。
自民党政権にNOを突き付けたら、消去法で受け皿の民主党が政権を取ったわけですが、とにかくさまざまな意味で「幼い」政治家の集団であることを、今更ながら痛感しています。政治運動には参加していたかもしれませんが、国を運営していくという能力・人を使う能力は今にして思うと皆無でした。
思えば、こんなにおかしくなったきっかけは小泉政権のときの「郵政いいがかり解散」からと思っていますが、どんな政権でも、有権者が投票して当選させたのですから、その責任は最終的に有権者にあることになります。
次に選挙をするとまず自民党政権に変わることになるでしょうが、自民党だって「幼い」政治家しかいないのが目に見えています。それでも選ばなければ国を変えていくことができないという厳然とした事実。有権者は、投票という行為で意思を示さなければなりません。
図解!!やりかた大百科 [000番台]
図解!! やりかた大百科 -役にたつ(かもしれない)438の豆知識。-
- 作者: デレク・ファーガストローム
- 出版社/メーカー: パイインターナショナル
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
役に立つかどうかはわからないけど、見てるだけで面白い1冊。
この本は、キレイなイラストでまさに様々なことを「図解」で示しています。一番最初がタイヤブランコの作り方ってところからどこか違うような気がしますが(笑)、これは役に立ちそう!と思うものから、絶対に使うことはないだろう!と思うものまでいろいろあります。
役に立たないというより、役立てるシーンになりたくないの代表は、「サメに襲われたとき」とか、「タランチュラの丸焼きの作り方」なんてのがあります。
役に立つほうは、カクテルの作り方や草木染めのやりかたなどでしょうか。
イラストですから、子どもになにかやらせようとするときに見せてもいいし、なんとなく手にとって暇なときにあちこちめくってみるのもいいかもしれません。
個人的には、これを全部イラストレーターで書いた(たくさんの作画担当者の顔のイラストも後ろに載っています)ということの方が、イラストレーターが苦手は私はそっちのほうに驚きます(笑)
錯覚の科学 [100番台]
あることを知っていないと本当に「錯覚」してしまう。
錯覚というと、一番最初に思いつくのが「目の錯覚」かもしれません。でも、この本で紹介されている錯覚は、人類がこれまで進化していくうちに身につけた本能に近いところの、意識しにくいものばかりです。
例えば、人間は注意をしているつもりでも、別の作業に集中してしまうと他のものが見えなくなってしまいます。よくある車とバイクの事故。これは、バイクなんてあんな大きなものが走ってきているのに、なぜか車のドライバーからは目に入らないことが多いのだそうです。これは、「注意の錯覚」としてこの本で取り上げられています。
他にも、偶然を必然と考えてしまう「原因の錯覚」や、根拠のないことに対する「可能性の錯覚」など、巷でまことしやかに言われていることは、まず根拠がない=実験したけど効果はないことがはっきりしています。
特に
・モーツアルトを聞くと云々
・脳トレをすると頭が云々
などの盲信以外の何者でもないことを、この本ではバッサリと切り捨てています。頭の機能回復をさせたかったら有酸素運動をした方が、脳トレゲームよりもはるかに効果があるなんて、ちゃぶ台を最後に力技でひっくり返されたような、そんな気持ちになりますが、現実はこうなのです。
著者が、この本のサイトを立ち上げています。最近テレビでも取り上げられたことなので、もしかしたら見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、InbisibleGorilla実験を見て、自分が注意力があるかどうかをたしかめてください。
the Inbisible Gorilla
サイドのメニューの、Video&Demosからどうぞ。
近況 [こんなことを考えている]
10月の半ばから、新しい仕事をしています。その仕事が高校の臨時職員なので、意外と時間があって本を読むヒマがあります。
高校ですから、もちろん図書室ってものもありますが、お金がかけられないところの最たる部門なので、予想以上に貧弱でがっかりするところもあるわけです。
それほど学力も高くない学校だったりするので、置いてある本は最近よく見かける「行間の広い」読むのにそれほど負担のかからない本が中心です。というより、そんな本しか最近は売ってないのか?と疑問に感じるくらいで。
おかげで読むと200ページ程度でも2時間もあれば読み終わります。もっとも、司書の先生の話では、それでも読む生徒はまだマシだとか。
高校時代に本を読んでおかないと日本語が貧弱になるし、母語が貧弱だとたとえ英語を学んでも第二言語は母語を越えない事実を痛感するだろうし。
でも、今の時代、高校生は本を読むのって、そんなに大変?
高校ですから、もちろん図書室ってものもありますが、お金がかけられないところの最たる部門なので、予想以上に貧弱でがっかりするところもあるわけです。
それほど学力も高くない学校だったりするので、置いてある本は最近よく見かける「行間の広い」読むのにそれほど負担のかからない本が中心です。というより、そんな本しか最近は売ってないのか?と疑問に感じるくらいで。
おかげで読むと200ページ程度でも2時間もあれば読み終わります。もっとも、司書の先生の話では、それでも読む生徒はまだマシだとか。
高校時代に本を読んでおかないと日本語が貧弱になるし、母語が貧弱だとたとえ英語を学んでも第二言語は母語を越えない事実を痛感するだろうし。
でも、今の時代、高校生は本を読むのって、そんなに大変?
ちんろろきしし [700番台]
死亡フラグが立ちました! [900番台]
死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)
- 作者: 七尾 与史
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/07/06
- メディア: 文庫
ピタゴラ装置みたいな完全犯罪(笑)
珍しく日本の推理小説です。しかも完全犯罪モノですが、その手口がどう考えてもありえない手口です。なぜって殺し屋に狙われたターゲットは、事故死としか思えないカタチで命を落とすのですから。
例えばヤクザの組長は、転んで転倒したらそこに鉄アレイがあって、ちょうど頭が当たって事故死したことになってましたが、これがちょうど転んだらそこに頭がいくから鉄アレイをそこに置かせたという、どう考えてもありえない仕組みです。
でも、これを実写で映画化したら、それはそれでスラップスティックコメディとして面白そうだと思うんですけど、誰か映画化しませんかね?
そうそう、タイトルの「死亡フラグが立ちました!」は、ホラー映画で、なぜか深夜にひとりプールで泳いだりすることです。そう、そんなことをするヤツは、だいたい次のシーンでは殺されますから、死亡フラグが立ったなんて言い方をするんだそうです。
脳がよみがえる [400番台]
リハビリも進化する。
私の両親はふたりとも脳卒中でした。リハビリをしている様子も見たこともありますが、当時は「脳卒中はあたりどころが良ければ後遺症もなく完治するが、普通は障害が残ってしまう」というのが一般的なイメージでした。
ところが、たまたま見たNHKスペシャルで最新の脳卒中のリハビリが紹介されていて、そのときの番組内容がこの本になっていました。
すべてが全部回復するわけではありませんが、一定期間経過しても回復の可能性があるし、機械のアシストで動いたという成功の感覚を覚えることで機能が回復するなど、リハビリもどんどん最新研究が出てきていることをこの本で知ることができます。
リハビリをした後、寝た方が回復につながる(記憶が寝ている間に定着するのと同じ)とか、タイミングよくほめることが機能回復にもつながるなど、子育てなどとつながる研究も出てきています。
問題は、なかなかこのような最新医療の情報が、本当に必要としている人のところまで届かないことですが・・
マンションは間取りで選びなさい [300番台]
間取りだけでもわかることはたくさんある!
家を買うということは、金額面で見たらおそらく一生のうちで一番大きい買い物になるでしょう。そのとき、何を基準にして選ぶことになるのでしょうか?周囲の環境だとか金額などが重要視されることになるかと思いますが、買うに限らず借りるでもやはり「間取り」は大きなチェックポイントではないでしょうか。
この本は、その間取りから作り手の論理で作られたものかどうかを見分け、住むのにいい物件の見つけ方を示しています。
ちょうど一年半ぐらい前に今のところに引っ越しましたから、間取りはさまざまなところを散々見ました。いわゆる分譲の賃貸に降りてきたような物件では、リビングに和室がついているようなものがけっこうありましたが、これを著者は役に立たないものとバッサリ斬ります。たしかに、窓に和室がくっついているのであればまだしも、リビングを障子のようなもので区切るものは、どう考えても換気がいいとは思えません。
著者も、まずは採光と空気の流れを見ると行っていますから、住むことを考えていない間取りは、空気の通り道のない間取りになっていたりするわけです。
もうひとつ、これは自分自身実感したことですが、天井の高さです。実際には天井高(部屋の天井までの高さ)と階高(フロアの高さ)の2種類があるそうですが、前に見に行った物件で、妙な違和感を感じたのがこの天井の高さでした。天井が低いというのは、想像以上に圧迫感があります。これも実際に見ないとわからないものです。
作り手の論理は、最終的に間取りに出てきます。だからこそ、この本で間取りとは何かを学びたいものです。
タグ:間取り
エンデの遺言 [300番台]
エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: 河邑 厚徳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/22
- メディア: 文庫
ファンタジーが、まったく別の顔を見せる。
ミヒャエル・エンデといえば、モモなどのファンタジー小説を思い浮かべる人がほとんどかもしれません。しかし、本人は晩年経済について、特に「老化するお金」、」「価値の目減りするお金」についての考察を繰り返していたことが、この本で分かります。
お金とは、利子を生むものであって目減りするものではないという意識がどうしてもありますので、「老化するお金」という考え方は違和感がどうしてもあります。しかし、お金がお金を産む利子という仕組みが、結果今の経済をおかしくしているとエンデは言うのです。
実際に、サービス・取引に使われているお金は全体の2%、それ以外の98%は投機のお金であることを考えると、お金がお金を産む仕組みがいかに経済にダメージを与えているかを考えさせられます。
本来お金は流通してこそのものであって、溜め込まれるとまったく機能しなくなります。だから、溜め込まれずに流通する(=使いたくなる)仕組みとしての「老化するお金」が必要になってきます。これは実際に地域通貨として日本でも取り組もうとしているところも出てきています。
もしかしたら、これが被災地の経済を立て直すひとつのアイデアになるかもしれません。
ただ、これを読んでからモモを読みましたが、時間貯蓄銀行が、非常にリアルに薄気味悪く感じられました。
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
- 作者: ミヒャエル・エンデ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/09/24
- メディア: 単行本
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