エンデの遺言 [300番台]
エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: 河邑 厚徳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/22
- メディア: 文庫
ファンタジーが、まったく別の顔を見せる。
ミヒャエル・エンデといえば、モモなどのファンタジー小説を思い浮かべる人がほとんどかもしれません。しかし、本人は晩年経済について、特に「老化するお金」、」「価値の目減りするお金」についての考察を繰り返していたことが、この本で分かります。
お金とは、利子を生むものであって目減りするものではないという意識がどうしてもありますので、「老化するお金」という考え方は違和感がどうしてもあります。しかし、お金がお金を産む利子という仕組みが、結果今の経済をおかしくしているとエンデは言うのです。
実際に、サービス・取引に使われているお金は全体の2%、それ以外の98%は投機のお金であることを考えると、お金がお金を産む仕組みがいかに経済にダメージを与えているかを考えさせられます。
本来お金は流通してこそのものであって、溜め込まれるとまったく機能しなくなります。だから、溜め込まれずに流通する(=使いたくなる)仕組みとしての「老化するお金」が必要になってきます。これは実際に地域通貨として日本でも取り組もうとしているところも出てきています。
もしかしたら、これが被災地の経済を立て直すひとつのアイデアになるかもしれません。
ただ、これを読んでからモモを読みましたが、時間貯蓄銀行が、非常にリアルに薄気味悪く感じられました。
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
- 作者: ミヒャエル・エンデ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/09/24
- メディア: 単行本