おらほのラジオ体操 [震災関連]
こんなのがあります。
おらほのラジオ体操といって、ラジオ体操の掛け声を宮城を代表する本間秋彦さん(個人的にアニキと呼んでます)が方言で掛け声をしているものです。
このCDの売り上げが、支援になります。
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地震雑感/津浪と人間 [震災関連]
日本人は、この間進歩したのであろうか?
「天災は忘れた頃にやってくる」
この言葉を残したといわれる寺田寅彦の、地震や津波に関しての文章を集めたものです。
一番最初の「断水の日」は大正10年(1921年)のときに発生した竜ヶ崎地震(M7.0)が発生したとき、東京で断水したことを話題にしています。そこに述べられていることは、「大きめの地震があったときに都市の水道や瓦斯(ガス)が駄目になるというような事は、初めから明らかに分かっているが、また不思議に皆がいつでも忘れている事実である」(P10)など、当時も今も状況が変わっていないという事実です。
この本に収録されている文章を、名前を出さずに今の新聞に論説として発表しても、決して違和感がありません。しかも江戸時代に発生した安政の地震についてもちゃんと言及していて、そういう過去の経験を、まったく忘れてしまっているという、これまた今と全然変わっていない話。
本当に、この間進歩したのは「物質」だけで人間はちっとも利巧になっていないのではないかという指摘が耳に痛い。90年前の時でもそうなのに、それから90年経ってもちっとも利巧になっていないことを痛感します。もしかしたら、人間は利巧にはなれない生き物ではないかと思うくらい・・・
政府の動きの遅さは90年前からまったく変わっておらず、歴史からも学べない日本人。永遠にこの特性を抱えたまま、また次の大地震のときに同じことを繰り返すのでしょうか?
タグ:寺田寅彦
帰宅難民なう。 [震災関連]
これは非常に参考になる。
震災本の中でも、これは出色の出来の本です。実際に会社から自宅までの約18kmを徒歩(+自転車)で帰宅したときの詳細がここに書かれています。
徒歩で帰宅するときのポイントとして、
・目標地点を何ヶ所か設けてそこをまず目指すこと
・持ち物を極力減らすこと
・トイレの場所を把握しておくこと
などを挙げています。この日東京では交通機関は復旧しませんでしたが、コンビニなどは営業していたので飲み物や簡単にエネルギーになるお菓子類は買えたようです。こちらは完全に停電してしまったため、自販機もコンビニもスーパーも全部営業していませんでしたので、帰宅難民とはいえちょっとだけ恵まれているように思えました。
それでも、さんざん歩いた後に自転車に乗ったら、自宅についたとき体が変に硬直していたとか、靴紐を少し緩めにしていたらかえって足に疲れが来たとか、実際に参考になる経験談がつまっています。
まぁ、最後にオチとして、やっとたどり着いたのに官房長官が帰宅難民に対して「帰らないでください」と呼びかけていたことを家族から伝えられてガックリしたことが書かれています。でも、これは情報源がつながりにくい携帯電話だけでは仕方のないことです。
ラジオでも持っていれば多少情報が入手できたかもしれませんが、情報をどうやって入手するかは、この手の災害では本当に必須です。ローカルAM局が聞けるとだいぶ違っていたんでしょうね。
タグ:帰宅難民
放射線のひみつ [震災関連]
@team_nakagawaの本
福島の原発事故で、さまざまな放射線・放射能の報道が出ました。突然シーベルトとかベクレルとか、聞いたことのない専門用語がテレビで「訳がわからんけど危険な香りプンプン」的な使われ方をして不安をあおるばかりでした。
その状況を憂慮した専門家として、著者が放射線治療医としてツイッターで情報発信を始めた状況を知っていたので、この本を手に取りました。
読んでみるとメディアでの説明と、微妙に異なる部分、もしかしたら意図的にワザと間違えて使っているんじゃないかと思える部分を知ることができました。
例えばシーベルトは、放射線の強さ・勢いを示すものなのか、ある期間の積算した放射線の量を示すものなのかというように、2種類を同じ言葉で説明しています。前者はシーベルト、後者はシーベルト毎時という意味になります。でも報道や政府発表は同じシーベルトで言われてしまうとよくよくその数字の意味を考えないと余計な不安につぶされそうです。
見たことも聞いたこともない、降ってわいた災難ではありますが、正しい知識と正確な情報公開が安心につながります。ほどよい厚さでわかりやすい説明、そして自分で考えるにはちょうどいい本です。
「想定外」を想定せよ! [震災関連]
津波てんでんこの本当の意味。
長いこと読書生活を続けていると、信頼に足る書き手が何人か見つかります。そのひとりが畑村先生です。今は原発事故調査・検証委員会の委員長という立場でもあります。
その畑村先生が東日本大震災の調査結果を一冊の本にしています。実際に田老地区の「万里の長城」と呼ばれた防潮堤が、旧堤防は機能(津波から避難する時間をかせぐため、津波の力をそらす)を果たして壊れなかったのに対し、新堤防は津波に抵抗するように作られていたために完全に破壊されていたことも写真や地図を一緒に説明してくれています。
また、この本で一番知ってほしいこと、それは「津波てんでんこ」の本当の意味です。
三陸の町に伝わる津波のときの避難についての言葉ということは、テレビなどでもだいぶ紹介されていました。しかし、その説明は「家族のことを考えず、自分ひとりでも生き延びる」というような内容でした。
しかし、本当の意味は「自分ひとりで逃げるのは、他の家族もきっと逃げると信頼できるからだ」ということなのです。ひとりで逃げても、最終的に生き延びることができればまた再会することができます。家族も同じように逃げていると信頼できるから、子供が自分ひとりでも逃げることができるのだと。
他にも、次のようなことが群馬大学の片田敏孝教授によって釜石の子供たちに教えられています。
・だれもが逃げなくても、勇気を持って君が最初に逃げろ
・逃げるために最善を尽くせ
・ハザードマップを信じるな
最後のハザードマップを信じるなはショックかもしれません。しかし、それを信じる=固定観念に固まってしまって逃げ遅れるにつながります。最初に逃げたところが危険だと判断したら、より安全そうなところに避難しそこも危ないと思ったらさらに安全そうなところを目指す。これが最終的に生き残ることにつながるのですから。
次、どこで地震が起きて津波が発生するかわかりません。しかし、このような良書で学び、準備しておくことはできるのです。
「あの日」のこと [震災関連]
震災というカテゴリーを作ってみました。
震災から半年が経過し、だいぶこの手の写真集や当時の新聞記事をまとめた本が出るようになりました。地震の被災者とはいえ、津波の本物を見ていないし、記憶を風化させないためにそしてそのとき何があったのかを見て忘れないためにと思ってみるようにしています。
ですが、当然ながらこの手の報道系の写真集は、「震災=津波」という構図がしっかりできあがっていて、津波が来なかった内陸部にはほとんど目が向けられていません。メディアの限界がここかなとも思える、ステレオタイプな考えが見え隠れします。
しかし、この写真集は、カメラマンの著者(被災地である仙台の出身の戦場カメラマン)が「そこにいる人を対象に撮影する」としたスタンスで、ちょっと安心して見られるようになっています。
もちろん、悲惨な状況はページをめくるたびに出てきますし、戦場カメラマンとして各地の紛争地域を歩いている人間が「どんな戦場よりもひどい」と語るくらいですから、実際の現場は想像を絶する様子だったのかもしれません。
それでもそこには「人」がいます。そしてその人が語るさまざまな言葉があります。ポートレート写真とその言葉が並ぶその中にこそ、人の強さと優しさがあるような気がします。
ただ、著者がいう次の言葉は、みなさんで考えてください。
「『もっと大変な人たちがいっぱいいますから、頑張らないとね・・・・』 それを聞くたびに、僕は感嘆すると同時に複雑な思いに駆られたのです。自分の妻や母親を失ったり、または娘や息子がいまだに行方不明だというのに、どうして他人のことまで気をまわすことができるのか?」
著者はこの言葉で自分を奮い立たせないと前に進めないからと解釈しています。私は、それが東北人の気質だからと考えます。
あなたはどう考えますか?そして、自分がもしこのレンズの前に立ったとき、その言葉は出ますか?出るのであれば、きっとあなたはみっともない買占めをしなかったのでは?
タグ:東日本大震災
ファイト新聞 [震災関連]
避難所では、子供たちがこのようにがんばっていました。
メディアでたくさん取り上げられたので、このファイト新聞についてはご存知の方も多いかと思います。
津波の被害の大きかったところのひとつである気仙沼で、避難所にいる子供たちが壁新聞を書いたもの、それがこのファイト新聞です。
編集長は小学生なので、本当に子供たちの目から見た避難所の様子などがストレートに書き込まれています。炊き出しに来た食べ物がしょっぱいとか、日本のカレーのほうがおいしいとか。
こんなときはやはり子供たちのほうが、大人よりもずっとパワーがあります。大人になるってことは、このような純粋なパワーをなくすことなのでしょうか?
ちなみに、このファイト新聞に出てくる子供のなかに、先週末行われた定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出演した子供もいます。第1回から連続出場している、スウィングドルフィンズのメンバーが。
都市住民のための防災読本 [震災関連]
いくらこのような本があっても、なぜ災害を減らすことができないのだろう?
このたびの台風による水害の被害に遭われた方に、改めてお見舞い申し上げます。
テレビで洪水の映像を見ていて、私と同じようにおそらく3.11の震災のときの津波の映像を連想した人は多かったのではないでしょうか?
3月の震災は東北の太平洋側を中心とした東日本が被害の中心でしたが、今回はある程度進路がわかる台風での被害でした。でも、水が塊で襲ってくる恐怖は同じ種類のものでしょう。
さまざまな形で水害が増えてきている感がある今の時代、果たして防災意識というものは、本当に高くなってきているのでしょうか。自治体が避難勧告を出さないから被害が云々ではなく、自分たちで危険だと思ったらさらに安全と思われるところに自主的に避難することも、必要だろうし実際に避難した人たちもいたようです。
今回取り上げている本は、大都市で災害が発生していたとき、どのように対処するかを取り上げていますが、これを果たしてどれくらい「自分自身のこと」と認識できるか、そして準備できるかは、そのハードルが非常に高いのではないかと強く感じています。
それを、今回の台風災害の報道を見て、さらに・・・
準備することってそんなに面倒ですか?
自分だけは死なないと思ってませんか?
今までなかったことはこれからもないと思ってませんか?
タグ:防災
東日本大震災 レンズが震えた 世界のフォトグラファーの決定版写真集 [震災関連]
東日本大震災 レンズが震えた 世界のフォトグラファーの決定版写真集 (AERA増刊)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 雑誌
おそらく一番リアルな写真集。
震災から2ヶ月も経つと、報道写真集が少しづつ出版されるようになります。そんななか、これを見つけました。決定版と謳っているとおり、写真が中心で文字の記事はあまりないのが、改めて震災の悲惨さ・凄惨さを見せてくれます。
写真集は、テレビの報道に出てこない映像が残されています。今回の震災は、死者だけで1万3千人を越えています。ということは、もちろん遺体があってそれを埋葬しているはずなのですが、テレビではここまでは放送されません。しかし、この写真集には実際に穴を掘って埋葬していて自衛隊員が敬礼している写真が収められています。
目を背けたくなるような、そんな写真ですが、これも震災の報道されない事実なのです。これほど、死が身近に突きつけられたことはなかったと思います。そして自分がこれを見る立場なのか、遺体として見られる立場になるのかは、まったくもって運としかいいようがありません。
タグ:東日本大震災