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地震雑感/津浪と人間 [震災関連]


地震雑感/津浪と人間 - 寺田寅彦随筆選集 (中公文庫)

地震雑感/津浪と人間 - 寺田寅彦随筆選集 (中公文庫)

  • 作者: 寺田 寅彦
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫



日本人は、この間進歩したのであろうか?

「天災は忘れた頃にやってくる」
この言葉を残したといわれる寺田寅彦の、地震や津波に関しての文章を集めたものです。

一番最初の「断水の日」は大正10年(1921年)のときに発生した竜ヶ崎地震(M7.0)が発生したとき、東京で断水したことを話題にしています。そこに述べられていることは、「大きめの地震があったときに都市の水道や瓦斯(ガス)が駄目になるというような事は、初めから明らかに分かっているが、また不思議に皆がいつでも忘れている事実である」(P10)など、当時も今も状況が変わっていないという事実です。

この本に収録されている文章を、名前を出さずに今の新聞に論説として発表しても、決して違和感がありません。しかも江戸時代に発生した安政の地震についてもちゃんと言及していて、そういう過去の経験を、まったく忘れてしまっているという、これまた今と全然変わっていない話。

本当に、この間進歩したのは「物質」だけで人間はちっとも利巧になっていないのではないかという指摘が耳に痛い。90年前の時でもそうなのに、それから90年経ってもちっとも利巧になっていないことを痛感します。もしかしたら、人間は利巧にはなれない生き物ではないかと思うくらい・・・

政府の動きの遅さは90年前からまったく変わっておらず、歴史からも学べない日本人。永遠にこの特性を抱えたまま、また次の大地震のときに同じことを繰り返すのでしょうか?
タグ:寺田寅彦
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