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医学探偵ジョン・スノウ [400番台]


医学探偵ジョン・スノウ―コレラとブロード・ストリートの井戸の謎

医学探偵ジョン・スノウ―コレラとブロード・ストリートの井戸の謎

  • 作者: サンドラ ヘンペル
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本



常識と考えられるものを覆すことの難しさ。

これは、ヨーロッパで猛威を振るったコレラを、その原因がどこなのかをまさに探偵のごとく追及していった姿の記録です。当時、疫病は「悪い空気が病気の原因」などという常識がまかり通っていた時代に、科学的な調査が非常に難しいなか、井戸の汚染がその原因であることを突き止めるまでが書かれています。

もともとコレラは、コレラ菌に汚染された水を飲むことで感染が広がる病気らしいのですが、感染者が出ている地域は水だけではなく生活環境がひどいところが中心だったので、「悪い空気」が病気になると思われても仕方のない状況を、通り1本隔てたところでは感染者がまったく出ていないことから丹念にたどって原因と思われるところまでの姿は、本のタイトルの通り「医学探偵」そのものです。

当時のヨーロッパに限らず、一般的に信じられていることを覆すことの難しさがこの本を読むとよく分かります。ただ、それ以上にこの本の舞台であるロンドンの、衛生状況の悪さはひどいものです。清潔にすることが病気を避けるための基本であることがよくわかります。なんせコレラの感染者の排泄物や嘔吐物を飲み水の井戸の近くで洗って、その下水が飲み水の井戸に染み出して流れ込んでいたのですから。

衛生状況を改善することは重要ではありますが、今の日本は、ちょっとそれが度を越しているように思えてしまうのは私だけでしょうか?特にまだ全貌がつかめていない新型インフルエンザは、この本の舞台となったロンドンにおけるコレラとあまり変わらないような気がするのですが・・
タグ:コレラ
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