メディチ・インパクト [300番台]
メディチ・インパクト (Harvard business school press)
- 作者: フランス・ヨハンソン
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 単行本
メディチ家とはまったく関係ないですが、考え方としてはとても面白い本です。
メディチ・インパクトとは、イタリアルネッサンス時代のメディチ家とはまったく関係ない話です。しかし、考え方としてはメディチ家がルネッサンス時代に果たした役割と同じことを実現すれば、新しいイノベーションを築くことができるという内容を、「メディチ・エフェクト」という言葉で定義し、説明した本です。
メディチ家は、自分のところのサロンのようなところにたくさんの種類の人が集まって交流していたのだそうです。考え方が異なる人たちが集まり、そこに新しい考え方が生まれてきたからルネッサンスはあれほど発展したという考え方もあるくらいです。そこで、このメディチ・エフェクトを実現して、イノベーションを発展させようというのがこの本の骨子となっています。
今の日本は専門バカが多くなってしまって、画期的な考えが出にくい状況になっています。専門の知識が多ければ多いほど、新しいことを思いつけないという悪循環もあります。この本で指摘するメディチ・エフェクトとは、異文化や異なる考えを持つ人(もちろん自分の専門以外を学んでもいい)と交流することで、新しいものを生み出せるとするものです。そう考えると、例えば「優秀なはずの」官僚が、それほど新しいこと(システム)を作り出すことができないという事実を見ても専門家の弊害が見られます。優秀なはずなのに最近何をやっても穴だらけですから。
逆に私はいろんなところに「助っ人」のような形で仕事に入ることが多いのですが、「異分子」のような位置付けなのでそれまで同じようなことを繰り返していた人には目新しい考えを出す人間として重宝されていました。知らず知らずのうちにメディチ・エフェクトを体現していたようですが、改めて考え方を確認してみると興味のないところまでいろいろ手を広げることもいいことなんだなと思ったりします。
ま、だからこそ新潮新書を全部読もうなんて考えるんですけどね。