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万物理論 [900番台]


万物理論 (創元SF文庫)

万物理論 (創元SF文庫)

  • 作者: グレッグ・イーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/10/28
  • メディア: 文庫



その物量以上の面白さ。

唐突ですがSFです。小説を読むこと自体珍しいのですが、これをSF小説と思わず来る未来と思って読むと途端になんともいえない違和感を感じるようになります。

そう、内容としては、以前取り上げた22世紀から回顧する21世紀全史を思い出させます。主人公は映像ジャーナリストですが、登場のシーンからして死体の脳から一時的に記憶を呼び出して犯人を語らせ、そしてそれを映像として番組(もちろんインターネット上で公開する番組)を作成するなんて、「こんなんありか?」と思える場面です。

しかもこの主人公、自分のおなかの中にコンピュータを内蔵させ、へそに光ケーブルを接続してコントロールするなんてことも出てきます。肩にパッチを当ててこれで体調をコントロールする薬物(もちろん遺伝子操作していたりする)を注入させて仕事の時間に集中できるようにしています。これも近い将来実現しそうな(もしかしたらどこかで実現させているかも)技術です。

ジャーナリストだけに視神経にコンピュータを接続し、自分の見たものを記録できるようにしているし、自分のエージェントにインターネット上で興味のある情報を収集させることもしています。そんなジャーナリストが人工的に作られた島(通常の国ではないから行くのにとても苦労する場所となっている)で起こるノーベル物理学者の様々な事件を取材するうちにトラブルに巻き込まれて・・・と進んでいきます。

読んでいるだけで大変な量(600ページ以上)ですが、この未来は性別が5つ(それぞれの性を強化した強化男性・強化女性、逆に性を弱めた微化男性・微化女性、そして両方の性を持つ汎性)も増えているし、それが大きな役割を果たす場面もあります。600ページ以上という量と違和感はありますが、読み出すと止まらない面白さがある本となっています。

同じような内容の本があるということは、同じようなことを誰もが考えていることにつながるはずです。となると、これは本当の未来の姿なのかもしれません。
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