フォールアウト [500番台]
フォールアウト―世界貿易センタービル崩落は環境になにをもたらしたのか
- 作者: フアン・ゴンザレス
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
このような災害が環境汚染の引き金になることも知るべきか。
9.11で崩壊した世界貿易センタービル(WTC)。あれからかなり立ちましたが、超高層ビルに飛行機が突っ込み、そしてその後ふたつのタワーが両方とも崩壊した映像は、今でもはっきり記憶しているショッキングな映像でした。あのとき、崩れ落ちるビルと立ち上がる粉塵は、その辺一帯を覆いつくしてしまうくらいの激しいものでした。
ですが、このWTCの崩壊の裏で、実は重要なことが発生していたことを、この本は示しています。それが「環境汚染」です。
1973年に完成したこのビルは、当時それほどの危険性を認識されていなかったアスベストや、中の事務所で使われていたPCの鉛の汚染が崩壊したときにその周囲にばら撒かれてしまったようなのです。そのために、救出に携わっていた救急隊員に健康被害が集中していたのに、市当局は早く現場に人が入れるようにしてしまう愚挙を犯してしまう始末。
これはたまたまニューヨークの話でしたが、例えばこれが日本で巨大な地震が発生して高層ビルがたくさん崩壊したら、同じようなことが起きうることではないかと思ってしまいます。実際に調査の記録がないのでなんとも言えませんが、阪神大震災のとき、あれだけビルや家屋が倒壊したことを考えると、実は同じようなことが起きていたのではとも考えてしまいます。
WTC崩壊でどのような健康被害があったのか、その対策としてどのような準備が必要かはこの本にしっかり書かれています。地震の被害が考えられる日本では、この対策も考えるべきなのかもしれません。
2009-12-17 22:15
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